戻る理由はありますか？クリエイティブディレクターPascal Duvalと監督のPaul Geusebroekの対談

Pascalさん、動画「Reverse」のコンセプトについて教えてください。アイデアはどこから来たのですか？

Pascal: VanMoofで、私たちは使命は、コロナのパンデミックの中でみんな家に閉じ込められている間、ある意味、より注目されました。多くの都市は、車や渋滞、汚染が少なかったことで、より環境に優しく、よりクリーンになりました。この動画のきっかけは、今また、人々が元に戻り始めている姿を目にしたことでした。人々がまた動きはじめ、毎日の通勤に戻り、車に乗りはじめているというこに対して何か行いたかったのです。人々が、悪い習慣に戻りかけています。もちろん、必ずしも全員が「悪い」とは思っていないといえ、全員が戻ると、都市全体がひどい渋滞やそれに伴う事故やイラつきなどのよくないことに戻ります。私にとっては、それがアイデアの出発点でした。

Paulさんは、監督として、この動画のコンセプトで最も惹かれたのはどこですか？

Paul: 逆転する視覚的比喩はとてもシンプルで、すぐに惹かれました。良い意味でのシンプルです！私はいつも複雑ではないコンセプトを求めています。また、動画でできることを多く感じました。Pascalさんの参考資料の多くは非常に動画的で、すぐにすばらしいストリートスタイルの撮影ができると思いました。当然、そうすべき内容という意味でです。

監督は、空気感のある、映画のような動画の制作者としてよく知られていますが、そして、そのスタイルはこの映画にも受け継がれていますが、昔のスタイルとも言えそうですが、どうですか？

Paul: 確かに、そうですね。そういうことをやろうとしていたんです！ 派手でヒップな映画は作りたくなかったです。もう少し伝統的なものを作りたかったのです。私たちは、それがナンセンスでない骨太の映像作品の手法だと確認したかった。

Pascal: そうですね。この動画は時代を超越しています。「時代」設定はありますが、その時間が今であるとか、それがどの都市に設定されているのかとかは、はっきりと言うことはできません。ある意味、中間世界のようなものです。うまくいけば、5年後にそれを見ても、同じ品質のままです。

Paul: その通り。アートディレクションとして、古い世界を置き去りにすることは狙いました。昔ながらの日々の仕事のアイデアとともに、過去に残した時代遅れの世界のようなものを感じたかったのです。

音楽は本当に時代を超越したものということを強化しています。どうやってその音に至ったのですか？

Paul: 私たちはディストピアの音は望んでいませんでした。その真逆で、皮肉と、また、見えるものと聞こえるものの間の対比を作り出すことを目指しました。ヴィンテージレコーディングの質感で、映像に深みを与えました。セットでは、逆再生中にトラックをたくさん再生し、気分と映像のペースを決めました。そのため、映像と音楽は非常にうまく合っています。

この動画の制作はどうでしたか？セットでのエネルギーはどうでしたか？

Paul: 私たちはその全てに責任を持たなくてはなりませんでした。障害の1つは、たった2回の撮影日程で作り上げることでした。多くは、3つの異なるモニターで同時に3つの映像を撮影していました。うまくいったのでとても楽しかったです。クルーは素晴らしかったです、この流れに入ると、アドレナリンが出ます。そして、映画の可能性を本当に最大限に引き出すことができるのです。

この映画は「Reverse (リバース)」と呼ばれています。なぜこの特定のタイミングで、逆回転というアイデアをやりたかったのですか？

Pascal: 本当に文化的な時代精神と関係があります。山火事と鉄砲水が発生している現在、私たちの環境危機はかなり明確になっています。しかし、社会がオープンになったために、一瞬、私たちがこの悲惨な状況にあったことをほぼ忘れてしまっていたように思いました。この動画は、これら2つのアイデアを取り入れています。コロナの前の世界に戻らないことと、前進して変化しなければならないことをより意識することです。私たちは世界を映す鏡を持っていたいと思っています。私たちは誰に対してもアクションを呼びかけたくありません。そうすることで、動画のメッセージを非難することより、もっと感じることができるはずです。

では、この動画は個人へのメッセージなのか、それとも政治家や変化を起こす力を持っている人々への行動の呼びかけですか？または両方でしょうか？

Pascal: 最終的には、みんなで一緒にしなければなりません。変化は社会全体で起きる必要があります。たとえばロンドンでは、コロナのパンデミックを乗り越えて自転車や歩行者のために作られたスペースは、車が非常に多いために、再び車に乗っ取られました。政府や企業には、確かに正しいメッセージを広める責任があると思います。

この動画から、人々に何を感じてもらうことを望んでいますか？

Paul: エンディングでライダーとその直後のショットが明らかになります。それは新鮮な空気の呼吸です。落ち着いていて、音楽のようなものが同期して、最終的に映像にフィットします。道は落ち着いていて、サウンドデザインには鳥のさえずりを含んでいます。それを目指しています。動画の終わりが新鮮な空気を呼吸したいと感じることです。自転車は、環境だけでなく、人々がいる制約から逃がします。9時5時の単調な毎日を自転車が救うんです。それは動画の中での自由に表れています。誰もが立ち往生してながらも、みんなただたそがれています。

パンデミックの間、電動自転車の販売は急増し、人間中心の都市に対する新たなタイプの熱意が生まれました。この危機が私たちのやり方を変えることにつながるという感覚がありました。しかし今、世界がまたオープンになる中で、実際に自動車の売上と使用が再び増加しているのを目にします。何が起きているのでしょうか？

Paul: 私は経済学者ではありませんが、今起こっている消費の大きな波があると思います。ですから、人々は今、そのような大きなスケールで見た場合に消費しているだけなので、今が測定に最適な時期ではないかもしれません。彼らは家に閉じ込められていて、そして今は、生きたいと思っています。それが一つの理由なのかもしれません。明らかに厄介なことで、政府がうまく統制する必要があります。私は、政府レベルではじめて、本当の違いが出ると思っています。個人レベルでも、政府にアクションを強制して差を生むことができますが、最終的には政府から大きな変化ははじめるべきです。

Pascal: 快適さのためだと思います。オランダでは、「農民が知らないことは、自分が食べていないこと。」と言いますが、それと少し似ています。全世界がみんなのルーチンを変えなければならなかったとしても、簡単に昔の習慣に戻ってしまいます。しかし、車文化を変えることができれば、つまり、人々の習慣を変えることができれば、それはとても強力です。そしてとても興味深いことです。このトピックに関するより多くの会話を引き起こすことができる、強力で、示唆に富む、詩的な映像作品が完成したと思いたいです。

機能の止まった渋滞、汚染、道路でのイライラの状態に戻ることは、前進とは言えません。逆に、自転車に乗ることで、新鮮な空気を呼吸することを、地球も都市住民も必要としています。逆戻りはやめましょう。未来は前にあります。